Project
子ども第三の居場所
みんなが、
みんなの子どもを育てる
社会実現のために
NPO、企業、行政といった枠を超えて、困難に直面する子どもたちに正面から取り組む、日本財団だからこそできる、長期的な目線で取り組んでいるプロジェクトです。
プロジェクト概要
子どもたちが安心できる「放課後の場」をつくる
今、日本では子どもの7人に1人が経済的なハンデを背負っており、10万人が虐待にあっていると言われています。多くの子どもにとって当たり前の環境は、一部の子どもにとって当たり前ではありません。
子どもたちの孤立しやすい放課後の時間に、家庭や学校以外の場で信頼できる大人や友達と、安心して過ごせる居場所が必要です。そこで、日本財団は、すべての子どもたちが、居場所を手に入れ、未来への可能性を手にできる社会を作るために「子ども第三の居場所」事業を進めています。
プロジェクト詳細
地域にもう一つの居場所=「子ども第三の居場所」を設立
この事業は、一般的な学童や子ども食堂とは違い、日本財団が大切している5つの機会、「①安心」「②食事」「③生活習慣」「④学習支援」「⑤体験」を子どもたちに提供しています。
具体的には、学校でも家でもない「①安心」して過ごせる居場所、コンビニ弁当やレトルトではない栄養バランスのとれた温かい「②食事」、歯磨きや入浴・就寝など基本的な「③生活習慣」を定着させ、それぞれの子どもに寄り添った「④学習支援」を行い、そして非認知能力を育む「⑤体験」の提供です。
また「常設ケアモデル」「学習・生活支援モデル」「コミュニティモデル」の3つのモデルを展開し地域の実態に応じた運営が行えるように支援しています。2016年に埼玉県戸田市に第一号拠点を開設し、現在では全国で179拠点の「居場所」が始動しています。
地域と共に自立。日本全国に効果を波及させる取り組み
日本財団も「子ども第三の居場所」運営団体に対して永遠に助成できるわけではありません。また日本財団が定めた3年間の運営費の助成が終わった先にその「居場所」がなくなっては意味がありません。この事業の価値を最大化するために、困難に直面する子どもたちの問題とこの事業の有効性を自治体に理解していただき、4年目以降には運営団体が自立できるよう、自治体にも共に事業を推進していくための協定を締結し、事業を行っています。
組織の枠組みを越えた社会課題解決モデル
困難に直面する子どもたちの問題に正面から取り組む「子ども第三の居場所」事業は、NPOや企業、研究機関、行政といった枠組みを超えて、社会課題を解決する新しいモデルを創造する「ソーシャルイノベーション推進チーム」において具体的に立案され、現在では「子どもサポートチーム」として独立し、一つのチームが専門で担う事業にまで発展してきました。
日本財団は、統計分析などの他、プロジェクトのハブとして、現実に自治体や学校が抱えている制約や、現場のスタッフの負担にも気を配りながら事業を進めています。NPOや企業、研究機関、行政と緊密に連携しながら、長期的な目線で社会課題の解決を考えられるのは、日本財団ならではの強みです。
交渉、効果検証など、幅広い業務を実施
「子ども第三の居場所」事業は、運営団体に対する単純な助成だけでなく、その後の「自立」ができるように支援を行っていますが、事業自体の効果検証を特に重要視しています。日本財団は子どもの学力テストや生活習慣チェックなどのデータ提供を受け、大学や研究機関と連携しながら、この事業の効果検証を行っています。
学力や生活習慣に関するデータを収集することで、「子ども第三の居場所」に通う児童と、近隣の小学校区の児童との比較分析を試みています。大学の先生方との分析手法に関する相談、分析に必要なデータの収集、また自治体や学校関係者への協力依頼など、効果の検証を実現するための調整役として、非常に幅広い業務を行なっています。
プロジェクト
関与メンバーの想い
この事業の成果次第で、
将来200万人の子どもを助けることにつながると信じている
困難を抱えている子どもの様子は見えづらいです。日本では、海外のようにストリートチルドレンがいるわけでもなければ、毎日きちんと服を着て、中にはスマートフォンを持っている子もいます。でも他の子どもたちに比べ圧倒的に足りないのは、社会的な経験や体験であることが調査で分かってきました。私が関わっている間には、全国の子ども第三の居場所に通う子どもたちを集めて沖縄への合同旅行を行い、低学年の子どもにはお風呂に一緒に入って体や髪を洗ったり、布団を並べて一緒に寝たりしました。子どもたちは、はじめて飛行機に乗って、はじめて船に乗って、はじめての旅行、はじめての海。海の水ってしょっぱいんだ、そんなたくさんの「はじめて」の体験ができたのではないかと思います。
子どもは幼いうちに社会的な経験を多くさせた方がいいという論文はアメリカで50年前にすでにあるのですが、実際に子どもたちの目が輝く瞬間をこの目で確認できたことは、私たちが、効果検証をして有効な政策や制度設計を提言するというこの事業のゴールに向かっていると実感した出来事でした。
災害対策事業部 災害対策事業チーム
真野 優
現場でのフィードバックが、すごくやりがいに通じる
プロジェクトでは、日本全国の子ども支援の現場に行く機会も多く、日々子どもたちと接するスタッフのみなさんと膝を突き合わせてお話しすることもあれば、子どもと触れ合うこともあります。やはり子どもと触れ合い、私たちの仕事が、NPOなどのみなさんを通じて、こうして子どもたちに届けられているんだということを間近で見ると、非常にやりがいを感じます。
経営企画広報部 子どもサポートチーム
高田 祐莉