スピードを重視して行動し、<br>社会にムーブメントを起こす

Works / People

スピードを重視して行動し、
社会にムーブメントを起こす

日本財団パラリンピックサポートセンター 
推進戦略部 ディレクター
※肩書は2019年当時のものです

金子 知史

Tomofumi Kaneko

Profile

法政大学国際文化学部卒。高校時代からアメリカンフットボールに打ち込み、学生時代はスポーツを謳歌。2008年に日本財団に入会し総務グループに配属され、事務方の仕事に従事。2011年3月11日、東日本大震災が発生すると、災害復興支援活動に携わる。その後、日本財団パラリンピックサポートセンター(当時)に出向し、パラリンピック競技団体の運営支援やパラリンピック教育事業を担当。現在は、経営企画広報部子どもサポートチーム兼HEROsチーム チームリーダー。趣味は魚釣り、スポーツ観戦。

入会後のキャリアステップ

2008

入会、総務グループ総務チームに配属

事務方の仕事に従事。

2011

3月18日 東北地方太平洋沖災害支援センターに異動

災害復興支援活動に従事。

2015

日本財団パラリンピックサポートセンター設立のタイミングで、出向

パラリンピック競技団体の運営支援や教育事業を担当。

2021

11月、経営企画広報部子どもサポートチーム兼人材開発チーム チームリーダー

2022

6月、経営企画広報部子どもサポートチーム兼HEROsチーム チームリーダー

私の仕事

パラスポーツ選手を支える競技団体の運営体制をサポート

2021年まで出向していた、日本財団パラリンピックサポートセンター(現日本財団パラスポーツサポートセンター。以下、パラサポ)での仕事についてお伝えしたいと思います。パラサポの始まりは、2013年に東京オリンピック・パラリンピックの招致が決まったことでした。長年、障害者福祉またはスポーツの振興活動をしていた日本財団として、特にパラリンピックに何か貢献できないかという想いがありました。

2014年、パラリンピック研究会を立ち上げて大会に向けての課題を洗い出していくなかで、一番の課題として見えてきたのが、競技団体の運営体制が必ずしも十分じゃないということでした。例えば、ボランティア組織と言われるような形態が多く、法人格もない。お給料をもらっている人は一切なく、年間の予算もほとんどないといった団体が少なくないとわかったのです。

そのため、まずは選手を一番身近で支える競技団体の運営支援が必要だということになり、2015年5月に組織を立ち上げ、助成金だけでなく、共同オフィスや共通業務のサポートまで全面的に支援し、ゆくゆくは自立した運営ができるよう競技団体全体が一体となって活動するお手伝いもすることにしました。

課題解決にコミットし、パラスポーツ専用体育館もオープン

私はスポーツが好きでこの事業のメンバーに選ばれたのですが、その前はまったく異なる業務を担当していました。それでも、これまでのことが活きたと思えるところがあります。パラサポそのものの組織作りの部分では総務の経験が活き、競技団体支援の事業作りのところでは東日本大震災のときにNPOやボランティア団体の支援活動をした経験が活きました。

事業作りでの苦労は、競技団体の皆さんからすれば「日本財団って何者?」というところからのスタートだったことです。招致が決まってから、競技団体にはいろいろな支援の話が寄せられたそうです。しかし、実は本格的には手を差し伸べてはもらえていなかった状況で、日本財団は実際どれだけやってくれるの?と思われていたと感じます。そこで我々が意識して取り組んだのは、まず覚悟を見せることでした。予算規模や期間、支援内容などをかなり具体的にすることで覚悟を示して、競技団体さんと共に前に進めていきましょうという雰囲気作りをしていきました。その結果、パラサポが立ち上がった約半年後には共同オフィスを設け、競技団体がそこに集結してタッグを組んでやっていこうという体制のスタートまでこぎつけることができました。

その後は競技団体の支援活動をメインに担当し、日々いろいろな課題を耳にしました。よく聞かれたのが、パラリンピックを目指す選手たちの練習環境が整っていないこと。出場できるレベルのアスリートだとしても5人に1人は何らかの理由で練習施設の利用を断られたり、制限をかけられたりといった経験があったのです。そこで私たちは思い切って、パラスポーツ専用の体育館を作ることを決断しました。

そして、東京パラリンピックまでに少しでも長く選手の練習環境を整えられるようにと、2018年6月には日本財団パラアリーナをオープンすることができました。

資金とスピードで枠を越えたチーム化。世界でも類を見ない取り組みに

日本財団で私が武器だと考えているのが資金、そしてスピード感を持って取り組めることです。それにより、さまざまな人を巻き込んでネットワークを作り、社会課題の解決のために前進できると思っています。

パラサポ自体の立ち上げに関しては、2015年から2021年までの7年間で100億円の資金規模で支援をすることを最初に表明をし、共同オフィスや助成制度を作り、発表から約半年後にはスタートするスピード感で進めました。その結果、競技団体やサポートする企業、ファンの方々が集まって、ムーブメントを起こす環境ができたと思います。

共同オフィスは世界でも見ない例だと言われており、史上最も成功したパラリンピックと言われる2012年のロンドンパラリンピックの関係者からも、バラバラで活動していた競技団体を一つにまとめたのは他にはない素晴らしい取り組みだと評価していただけました。いろいろな課題解決のために戦略を練り進めた結果、世界で初めてのものが出来上がったと感じます。

チームワークを意識することで、巻き込み力を身に付けた

私は、学生時代は正直、何かの学問をすごく勉強してきたわけではなく、履歴書に書けるようなスキルみたいなのは持っていませんでした。ただ、「人柄」に関しては評価して頂いていました。そこで、「人柄」というものを深堀りして、自分が貢献できるところは何かを模索してきました。不安に思うこともありましたが、自分に足りないものを人からもらって一緒に仕事することも能力も一つなのかなと今は思います。

そのため、特にチームワークを作っていくことに情熱を傾けていて、人を巻き込む力が付いてるぞ、と言えるかなと思っています。それができてきたのは、常にチームワークを意識してきたからではないかと。自分のことだけを考えるのではなく、各関係者それぞれの立場に立って、その人たちのメリット・デメリットを理解して、自身の弱みも強みも見せ、ネゴシエーションしてきました。いろいろなスキルを持った人を、チームとして一つにして前に進めていく。そこに私はこれからもちょっと力を注いでいきたい。それでまた何が起きていくのか、とても楽しみです。

私から見た、日本財団

自らチャレンジし、社会の変化を感じたい

実は学生時代、日本財団のことは全く知りませんでした。いろいろな業界を調べている中で、非営利という業界があることを知り、そこに日本財団があったのが出会いのきっかけです。活動内容が社会に貢献することで、それが仕事として成り立つということに衝撃を受け、是非自分もチャレンジしてみて、社会の変化というものを間近で体感してみたいと思いました。

それぞれの情熱の出し方で、社会課題に向き合う

日本財団は本当に情熱の塊だなと感じています。その情熱の傾け方は人それぞれで、社会課題を探し出すために世界中を駆け回るとか、見つけた課題の種を事業化するための制度を作るとか、組織の内部で事業を前に進めるために調整するとか。さまざまな情熱を持って力を発揮しています。

日々の社会の変化に合わせてスピード感をもって取り組む組織なので、新しい分野へのチャレンジの機会が大きな規模で出てきます。そのチャンスを掴み取り、自分自身のものにしていくという情熱と覚悟があれば十分に活躍できる。そこで一生懸命やることで、数年後に自分の身になっていると感じられる場面もたくさんあります。

就職活動中の方へのメッセージ

情熱を注げる場面を見つけ、
楽しめる仕事を作り、全力投球しよう

現時点で自分自身に何ができ、何に情熱を注げるのかわからない方も多いかもしれませんが、これは単に社会課題の「分野」だけの話ではありません。私の場合はチームワークを大切にし、身近な人たちとタッグを組んで、その範囲をだんだんと広げていくという感覚で社会課題に立ち向かおうと、「分野」ではなく「手法」に情熱を注いでいます。是非社会と組織を見渡し、自分が情熱を傾けられる場面を見つけてもらえたらうれしいです。また、社会課題の解決には大きな責任が伴いますし、言葉としては難しかったり重かったりするのですが、楽しくやらないと解決できないと思う場面があります。自分たちがいかに楽しめる仕事を作っていくかも大切だと思っています。

情熱を注げる場面を見つけ、<br />
楽しめる仕事を作り、全力投球しよう