Project
The Valuable 500(V500)
ビジネスでの
障害者インクルージョンを
推進する世界最大規模の
企業ネットワークを支援
現在、障害が理由で希望する仕事に就くことができない人、辞めてしまう人が数多くいます。創設から50年以上に渡り、障害者支援を行ってきた日本財団は、V500と連携し、その課題解決に挑戦しています。
プロジェクト概要
世界の有力企業500社のCEOが結束、日本企業53社も参画
V500は、2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で発足した世界的な企業のネットワーク組織です。障害者が社会、ビジネス、経済における潜在的な価値を発揮できるような改革を、世界500社のビジネスリーダーが起こすことを目的としています。
Unilever PLC前CEOのポール・ポルマンが会長を務め、リチャード・ブランソン(Virgin Group会長)やジュリー・スウィート(Accenture PLC CEO)が活動をサポートするなど、グローバルなビジネスリーダーが、この取り組みを推進しています。
V500は、障害のある消費者のニーズ調査を実施し、商品開発を後押しするほか、企業の障害者インクルージョン度合いを測る指標づくりや、アクセシビリティに配慮した求人ポータルサイトの設置を行います。また、国際機関等や加盟企業同士をつなぐネットワーク会議等を主宰し、知見の共有を目指しています。
プロジェクト詳細
グローバル・インパクト・パートナーとして強力に後押し
V500には、GoogleやCoca-Colaなどが入っており、日本でも53社が参画しています。その中で、日本財団はV500のグローバル・インパクト・パートナーとして2021年から2023年までの3年間で500万ドル(約5.5億円=2021年5月時点)の支援を予定し、同組織の活動を強力に後押ししています。
例えば、広報・啓蒙活動として、V500創設者のキャロライン・ケイシーさんを日本に招き、講演を実施、V500との共催で国際フォーラムを開催、アクセンチュアやミライロなどを登壇者として招き、障害とビジネスに関するセミナー等を行っています。また、日本財団のWEBメディアにて、日本企業の障害者インクルージョンの取り組みを紹介するなどしています。
ビジネスにおける障害者インクルージョンのノウハウ共有
世界の障害者人口は約10億人、障害者とその友人や家族を合わせた購買力の総額は13兆ドルと大きな市場ですが、障害者に配慮した商品等を提供している企業は3.6%と非常に少なく、今後の成長が期待されています。日本においては障害者の法定雇用率が設定され、障害者雇用やその情報開示が進んでいますが、障害者が潜在能力を発揮して働く環境が十分整備されているとは言えず、また企業間で知見を共有する場もありません。
障害者を雇用し、彼らに組織の一員として能力を発揮してもらうことは、障害のある社員と雇用する企業双方にとってメリットがあると考えています。また、障害者の視点をビジネスに取り入れることで、職場環境や製造する製品、サービスのイノベーションに繋がり、さらには市場の拡大にも繋がります。こうした障害者インクルージョンの取り組みは、企業としての価値を高めることに繋がっていきます。
ビジネスに障害の視点を取り込むことを当たり前に
日本財団では、半世紀も前から障害者支援を行ってきました。しかし、当人へ支援しても、周りの多数派が変わらないと、社会は変わっていきません。日本財団会長の笹川陽平は「世界中の大企業を巻き込むV500の挑戦は、これまでの障害者支援にビジネスという異なる角度から新たな風を吹き込むことによって、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現に近づくことを期待しています」と話しています。
日本財団はV500とともに、企業にとってビジネスに障害の視点を取り込むことが当たり前となる社会の実現を目指していきます。
プロジェクト
関与メンバーの想い
V500で障害者インクルージョンの新たな価値創出へ挑戦していく
日本財団の海外の障害者事業はこれまで、当事者リーダーの育成を目指し、障害者の人材育成に注力してきました。一方、高等教育を卒業し、高い能力を有していても、障害が理由となり就職の時点で困難に直面する障害者を多く目の当たりにしてきました。そうしたことから、社会の多数派を占めるビジネスセクターを巻き込んだ事業の重要性に気づき、V500を全面的に支援することを決定しました。V500は、ビジネスから障害者問題を解決する新たなアプローチをとっており、またCEO自身が活動にコミットをすることを表明しなければならないという点が特徴です。日本財団はV500を資金面で支援するだけではなく、障害者の社会参加における新たな価値観をともに創り出すことを目指しています。
日本財団は2019年から、V500への日本企業の参加推奨業務も担ってきました。結果、英国に続き2番目に多い53社の日本企業がV500に加盟しています。今後は、国際的なイニシアチブに参加する日本企業とも連携しながら、V500における日本のプレゼンスを高めていくとともに、障害者インクルージョンの新たな価値を国内でも創出していきたいと考えています。
特定事業部インクルージョン推進チーム
内山 英里子