社会は簡単に変わらない。<br>事業インパクトを拡大する<br>広報の力

Works / People

社会は簡単に変わらない。
事業インパクトを拡大する
広報の力

経営企画広報部 広報チーム リーダー

栗田 萌希

Moeki Kurita

Profile

北海道大学法学部卒、ミシガン大学統計学部応用統計学修士課程修了。
2015年に入会し、ソーシャルイノベーション推進チームにて「子どもの貧困対策プロジェクト」をはじめ新規事業の立ち上げなどを担当。同プロジェクトがスピンオフした子どもの貧困対策チームを経て、2019年より日本財団海外留学支援制度を利用して2年間ミシガン大学に留学。帰国後の現在は広報チームにて広告や調査等を担当。

入会後のキャリアステップ

2015

入会、ソーシャルイノベーション本部ソーシャルイノベーション推進チームに配属

「子どもの貧困対策プロジェクト」や「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」の立ち上げ、社会起業家への助成事業などを担当

2018

経営企画部 子どもの貧困対策チームに配属

入会以来担当していた「子どもの貧困対策プロジェクト」が独立チーム化

2019

日本財団の海外留学支援制度を活用し、米国・ミシガン大学アナーバー校へ留学

2021

経営企画広報部 広報チーム リーダー

マスメディア広告、Webマーケティング、広告・ブランディング関連の調査などを担当

私の仕事

ここは社会課題の「総合商社」。分野を超えアイディアを練り続ける

入会後、「子どもの貧困対策プロジェクト」などいくつかの新事業を企画・推進していました。その中で、統計学の知識が必要になり、勉強しているうちに興味が出て、日本財団の海外留学支援制度を利用し米国に留学。帰国後は、同じ部内の広報チームで、主に広告や関連する調査を担当しています。

具体的には、日本財団そのものの「コーポレート広報」と、事業一つ一つの「プロジェクト広報」の両方を担っています。日本財団そのもののブランディング等につき経営陣と議論を重ね企画立案をすることもあれば、個別のプロジェクトの政策提言やシンポジウムをサポートすることもあります。

日本財団の行うプロジェクトは多岐にわたり、子どもや教育から、海洋環境、国際支援、さらには寄付の普及啓発まで、さながら社会課題の総合商社といった組織です。教育、福祉、環境などといった分野を超えて、日々社会課題の背景を調べ、最適な広報戦略を企画・実行することは、視野が急速に広がる希少な経験です。

日本財団とその事業の社会的インパクトを最大化するためにはどうすればいいのか、毎日アイディアを絞り出しています。

社会は簡単には変わらない。広報だからできること

社会課題が複雑化・高度化する中で、従来のようにNPO団体と日本財団が協力するだけでは解決困難な課題が多数あります。例えば、私が担当していた子どもの貧困対策プロジェクトでは、学校、地方自治体、大学研究者、企業等のあらゆる分野の協力が必要不可欠でした。日本財団という存在が広く認識、理解、信頼されることで、こうしたネットワークを築けることは、事業を成功させるためにも重要だと感じています。また、我々非営利団体が、真面目に事業を遂行し、コツコツ結果を出していれば、社会が大きく変わるかと言うと、残念ながら変わらないという現実も身にしみて感じるところです。

いくら日本財団の事業費が大きいと言っても、例えば都道府県1つの年間予算には遠く及びません。日本財団が課題解決のモデルをある地域で示すことに成功したとしても、それを全国規模までスケールさせるには、更に長く困難な道のりが待っています。日本財団には商品の売上はありません。代わりに、日本財団の資金的・人員的限界を超え事業を飛躍させるため、社会課題の周知啓発、政策提言、政策を後押しする世論形成などが、広報が担う役割です。これもまた、日本財団ならではの面白さだと思います。

現場から世論形成まで。社会課題解決のプランを描く面白さ

日本財団の仕事の醍醐味は、社会課題解決の「サプライチェーン」全体のデザインに携わるという点だと思います。例えば私が入会直後にゼロからスタートした子どもの貧困対策プロジェクトでは、国内外の先行研究や事例の収集に始まり、NPOや企業と児童支援のカリキュラムの設計、大学と協働した効果検証の実験計画の策定、自治体の協力に基づくデータの収集や児童の募集…などなど、次々と仮説・戦略を立て、各役割に最適なパートナーを発見し、実行することが必要でした。さらに今、当該プロジェクトは政策提言などにも乗り出しています。

現場スタッフの育成研修から、政策提言に向けた準備まで、社会課題解決の道筋を上流から下流まで描き、必要なリソースを内外から集め、強力に実行していく。こうしたプロセスは、日本財団の全ての事業に共通することだと思います。

なにか解決すべき課題を与えられたとき、日本財団という稀有な存在を使って、それを解決する戦略を描くことを楽しめる人には、これほど面白い職場はないと思います。

私から見た、日本財団

社会を良くする方法をひたすら考えられる、他にはない仕事

日本財団は公的な性格が強く、国や地方自治体等とのスムーズな連携が可能です。それでいて、企業や専門家等とともにリスクの大きな新規事業を開発することも多々あり、公務員とも企業人とも違う、とても特殊な立場だと感じます。

これだけ巨大な資金と、分野を超えたネットワーク、そして自分のアイディアを組み合わせ、社会をより良くするための方法をひたすら考えることを職業にできるのは、とても恵まれたことだと感じます。元々国家公務員などを就職先として考えていましたが、偶然募集要項を目にした日本財団を選んでよかったと思っています。

新しい知見を取り入れ続ける、風通しの良い社風

入会後、「財団」や「非営利団体」といった言葉から受ける古風な印象とはずいぶん違った組織だなと常々感じています。入会して数年も経っていない若手職員であっても、自分の知見に基づいて意欲的な提案を行うと、それを採用してもらえるチャンスはとても多いように思います。私自身、入会直後から自分が行ったリサーチ結果等々が次々と事業に反映されていくことにやりがいを感じていました。

また、とても多様な経歴や知見を持つメンバーが揃っているということも、意外な点でした。例えば、私が入会直後に配属されたチームには、民間の商社やコンサル、シンクタンクから転職してきた若手の先輩がおり、その全員が海外の大学院の出身者でした。非営利団体であるにもかかわらず、上司もまさかのMBAホルダーで、当時の担当役員も元々は商社からの転職者だったそうです。

社内の留学支援制度の第1号も、公共政策などではなく、いきなり統計学を専攻しに行く僕なわけですから、分野を超え新しい文化や知見を受け入れる雰囲気があると思います。

就職活動中の方へのメッセージ

ジャンルで絞らず、気になったことに挑戦してみよう

私が働き始めてから感じているのは、学生時代に自分が全く想像もできていなかったような面白い仕事・組織・人が山ほど存在するということです。「子どもの貧困対策プロジェクト」を担当する以前は、まさか自分が大学院で数学と統計を学ぶ日が来るとは思っていませんでした。「公務員」や「銀行」などといった大ジャンルにこだわらず、気になった事業や人を幅広く掘り下げてみてもよいかもしれません。

ジャンルで絞らず、気になったことに挑戦してみよう